山奥で暮らす

山奥で暮らすための選択肢のひとつ「地域おこし協力隊」

注目地域おこし協力隊とは

地域おこし協力隊とは総務相が管轄する国の政策です。

「人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に誘致し、定住・定着を図ることで、都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化につなげるを測っていくこと」を目的としています。

任期は1年?最大3年間で、実際に地域おこし協力隊として活動するにあたっては、地方自治体が移住者である協力隊員を受け入れ、任期中の活動をサポートする仕組みになっています。

※総務省HP推進要綱はこちら

注目地域おこし協力隊になるための条件

地域おこし協力隊になるためには、現在の居住地域(というか住民票が置かれている地域)がポイントになります。

そもそも「都市部から地方へと人口を流す」ことを目的とした制度なので、基本的には都市部にお住まいの方が募集の対象です。また、都市部以外にお住まいでも、条件によって現在の居住地域よりも、より過疎化が進んでいる地域への応募が可能な場合があります。

都市部か否のかの判断は、国によって定められた「地域要件」に基づいて判断されます。
地域要件は市町村単位で区分けされていますが、市町村の一部の地域のみを「条件不利区域」として指定している場合もあります。

この「地域要件」に関する取り決めについては、ルールが非常にわかりにくいので、全てを理解しようとするよりも、現在の居住地と移住先の地域要件を確認し、応募できるかどうかチェックするのがおすすめ。

細かな表で見づらいですが、総務省HPに掲載されている、市町村別の地域要件確認表でチェックすれば間違いないでしょう。

※総務省HP市町村別の地域要件確認表はこちら

※総務省HP地域要件の原則はこちら

注目地域おこし協力隊の主な活動内容

活動内容は地方自治体によって様々ですが、大きく分けると以下の3つに分けられます。どれか一つだけに従事するというよりは、複合的に活動していくケースが多いのではないでしょうか。

  1. 地域ブランディング
  2. 農林水産業など地域産業への従事
  3. 人手不足のお手伝い

募集内容については、年に数回行われている地域おこし協力隊の募集イベントに出向いてみたり、募集サイト(https://www.iju-join.jp/chiikiokoshi/)をみながら、自分にあった移住先と業務内容を絞っていきましょう。

どのような活動内容を選ぶにしても、地方自治体業務に関する「雑用」は必ず発生します。行政の仕事に携わったことがないと、雑用の多さと難解さに驚くことが多いので、あらかじめ覚悟しておいたほうがよいかもしれません。

ちなみに、具体的な例として、わたし自身の活動内容をご紹介すると、大きく以下の4つに分けられます。

  1. 新規就農者として農業で独立し、地域に定住すること。
  2. 地域特産物の販売イベントなどのお手伝い。
  3. 自治体が管理している畑の定期的な草刈り。
  4. この他、会議等への参加など。

基本的には、任期期間中の3年間を使って就農に向けた技術と資金(融資含む)の準備をする、というのが最大のミッションで、非常に分かりやすい活動内容になっています。

②?④の活動は、どちらかというと自治体の仕事のお手伝いといったところ。自治体担当者とコミュニケーションを取り合い、最大のミッションである就農準備が疎かになることのないよう、バランスをとってスケジュール調整をしています。

活動内容や自由度は、地方自治体によって様々です。たくさんの募集要項をみていくことで、地方自治体の良し悪しも見えてくるはず。自分の希望と照らし合わせて、相性のよいところを探しましょう。

注目地域おこし協力隊が抱える「困った」について

地方自治体の担当職員とのコミュニケーション

地域おこし協力隊に限ったことではありませんが、最も難しいのが「人間関係」です。

地域おこし協力隊の場合、都市部から田舎への環境の変化にプラスして、新しい職場での慣れない業務がスタートします。そして、それをフォローしてくれる自治体の担当者は、協力隊の担当以外にも別の案件を抱えていることが多く、もちろん人材マネジメントのプロでもありません。コミュニケーションがうまくとれず、フォローもされず、疲労とストレスに耐えかねて退職、といったケースも少なからず発生しているようです。

地方自治体の仕事の進め方は、民間起業での勤務経験からは理解できないほどに、面倒で難解です。一見必要なさそうにみえることでも、法律に則るための手続きが山のように存在します。税金を使うというのは、それだけ大変なことなのですね。

その「面倒で難解」が当たり前の自治体担当者と、まったく未知の協力隊員。この「常識の違い」こそが、ストレスの大きな原因だといえそうです。協力隊員がそこを理解したうえで業務にあたることで、少しでもストレスを軽減できるのではないでしょうか。

地域住民とのコミュニケーション

自治体担当者だけでなく、移住するにあたっては地域の方とのお付き合いも、とても大切です。

都市部のドライさと比べると、かなりウェットなお付き合いになるので、最初はとまどうかもしません。移住者は地域ではとても目立つ存在。こちらは知らない方でも、相手はあなたのこと知っている、という状況は覚悟しておいたほうがよいでしょう。

地域差はありますが、場合によってはプライベートを監視されているように感じてしまう協力隊員もいるようです。あまり意識するとかえって不自然なことになってしまうので、ご挨拶を中心に、自然体のお付き合いを心がけてみてください。

地域の方との距離感がつかめてくるまでは、自分が話すより相手の話を聞く「聞き上手」になることを意識して、まずは周囲に溶け込むことを目指してみるのがおすすめです。

活動内容が思っていたのと違う

地域おこし協力隊として、何かしらのミッションを抱えて活動がスタートすると思います。しかし、実際に活動を初めてみると、雑用ばかりで予定と違う…と思い悩む方が非常に多いそう。たとえば、商品開発の業務のはずが、気がつけば直売所のレジ打ちばかり、など。

先ほどもお伝えしたとおり、都市部の大手企業と違って、多くの自治体担当者は人材マネジメントのプロではありません。人材育成や活用については、どうしても後手後手になりがちです。

しかし自治体の担当者は、決してあなたのことを忘れているわけではありません。しっかりコミュニケーションをとって、頼まれた業務をしっかりこなすことで信頼が生まれ、いざ本当にやりたかったこと着手する際に力になってくれるはず。

焦らず3年間の任期を目一杯使って当初の目標を達成する、そんな中長期的な計画で活動に臨むとよいのではないでしょうか。

注目地域おこし協力隊の任期終了後について

定住に向けてもっとも気がかりなのは、地域おこし協力隊の任期終了後の暮らしかた、つまり「仕事」についてではないでしょうか。

地域に定住するためには、就職なり起業なりで今後の生活費を稼いでいく必要がありますが、残念ながら任期期間終了後のフォローアップについては、手薄な自治体が多いのが実情です。

自治体任せにせずに、隊員自身が任期終了後を意識して活動していくことが、とても重要。そして何より、地方自治体の担当者と「将来の話」をきちんとおく必要があります。しっかりと課題を伝えておくことが担当者への意識づけにもなるため、早い段階から相談しておいたほうがよいでしょう。

具体的に選べる任期終了後の方向性は、起業する(農林水産業含む)または就職するのどちらかです。

起業の場合、協力隊としての活動内容を継続するのが、もっとも多いケースになりますが、それで生活できるほどの稼ぎがあるかどうかは別問題。そうなると副業として、雇用されて働く=就職を検討せざるを得ません。

就職するといっても、地方では生活するのに十分な給料がもらえる勤め先は限られるので、場合によっては、近隣都市部への通勤も視野にいれる必要がありそうです。

また、農業が盛んな地域の場合、繁忙期には手伝ってほしいといったアルバイトのお誘いがあるかもしれませんが、閑散期は仕事がサッパリなくなる、なんてこともよくある話。

いずれにしても、起業と雇用、本業と副業といったような、柔軟な気持ちで構えていたほうがよさそうです。人手不足が深刻な地方だからこそ、多様な働き方ができる可能性があるとプラスに捉え、マルチな活動を楽しんでみるのが田舎暮らしの醍醐味なのかもしれません。

注目まとめ

地域おこし協力隊とは、お給料をもらいながら夢を実現できる、とても魅力な制度です。一方で、制度自体が先行し、地方自治体の対応が追いついていない、といった問題点も残されています。

大切なのは、地域おこし協力隊の任期が終わったあとまで見据えて、任期期間中を過ごすこと。

田舎暮らしを実現するための選択肢のひとつ「地域おこし協力隊」について、参考になればうれしいです。

地域おこし協力隊の様子

就農に向けた活動中の様子
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